家族相談


 こころの問題は、問題を抱えているご本人よりも、身近な存在であるご家族が心配されたり悩んだりするということも少なくありません。ご本人は、自分の状況について客観的に捉えることが困難であったり、なんらかの事情から支援を求めることに強い抵抗があったり、あるいは将来を悲観するあまり投げやりな態度をとっていたりすることなどが背景にはあります。こうしたとき、ご家族の心労はとても大きなものとなりがちです。

 私は、中学と高校のスクールカウンセラー、大学の学生相談室などの現場で、不登校のお子さんへの関りにお悩みの親御さんの家族相談をお受けしてきました。また、ひきこもりの相談を多く受けている民間の心理相談室にも長年勤務し、当事者の相談に加えてご家族の相談にも数多く対応してきました。

 家族相談で大切なことは、ご相談にいらしたご家族とご本人が率直な話し合いができる関係性を再構築していくことです。来談時には、ご本人と日常会話をすることすら難しいというようなケースも少なくありませんし、こうしたとき、ご本人をどうするかというところばかりに目が行きがちになります。しかし、まずは家族の中で、率直な話し合いができるレベルの関係性の再構築が必要ですし、そうやって家族とつながる体験が、外部の支援につながるベースにもなっていきます。

 ご相談にいらっしゃったご家族の多くは、ご本人に対して様々なお気持ちを抱えていらっしゃると思います。不安や心配、失望や怒り、後悔や罪悪感など相矛盾する複雑なお気持ちを抱えながら、日々の生活をおくっていらっしゃるかもしれません。こうした感情をはなす(話すであり放す)こともとても大切なことです。こうしたプロセスをへて、相談にいらしたご家族がこころのゆとりを回復し、ご本人をある程度信じて見守るスタンスをとれるようになると、自ずとご本人にも変化が生じ、なにか行動を起こしたり、外部の支援につながっていったりすることが多いと、これまでの臨床経験から私は実感しています。

PAGE TOP